1円会社設立でのよくあるミス

1円会社とは、資本金が1円の会社です(株式会社が1円で作れるというわけではありません。実費だけでも約20万円かかります)。

以前は株式会社の最低資本金は1000万円でしたが、平成15年に1円会社が解禁され、資本金を1円として設立する人が現れました。

当時1円会社を設立したのはコンサルタント業など借入が必要ない業種で、資本金1円という話題性を狙った法人化が多かったように思います。

資本金は会社の設立時・増資時にいくらお金を入れたかを表していますが、現在そのお金が残っているかを保証するものではありません。

とはいえ、資本金で会社の規模や信用を判断する人も多いので、大きいに越したことはありません。

今でも資本金1円で会社を設立する人はいますし、銀行融資を受ける必要がない事業でしたら、それ自体が駄目ということはないのですが、、、

よく見るのが、資本金1円、そして発行可能株式総数1000株とやっちゃってる会社なんですよね!

これは明らかに失敗だと思います。設立時に専門家が関与しているなら、もっと授権枠(発行可能株式総数)を増やすようアドバイスすべきです。

発行可能株式総数1000株は、1株の払込金額が1万円とか5万円の会社ならいいんですが、資本金1円ということは、当然1株の払込金額が1円で、設立時の株数は1株です。

この会社が増資をしようとするとどうなるか?

発行可能株式総数1000株のままだと資本金は1000円までしか増資できませんが、さすがに増資後の資本金が1000円という会社はないでしょう。

資本金をもっと増やすには、前もって定款変更して発行可能株式総数を増やさなくてはなりません。

例えば、資本金を500万円にしたいのであれば、発行可能株式総数を500万株以上にします。

この手続きだけで登録免許税が3万円かかります。司法書士に依頼すれば、その報酬も追加でかかります。

ただでさえ増資の費用がかかるのに、依頼者に余計な費用を負担させることになってしまいます。

このように、設立後に何か登記事項を変更すると結構な費用がかかることが多いので、設立後すぐ定款変更の登記などということがないよう、設立時の定款を作成する際は、そのあたりの配慮も欠かせません。

司法書士が関与するなら、基本中の基本ですけどね。