会社・法人の登記が遅れたことによる過料

会社や法人の登記で、

「変更日を少し前の日付にしたいのですが?」

とか

「昨年役員変更したのですが登記を忘れていて、今やっても大丈夫でしょうか?」

といった問い合わせをよく受けます。

基本的に、何か登記事項(商号、役員、資本金、目的etc...)に変更があれば、どんなに過去の話でも登記はしなければなりません。

ですので、一昨年、いや10年前の商号変更登記などでも登記は可能ですが、一方で会社・法人の登記事項はすみやかに公示しなければ、登記簿を見て取引を行う関係者を害することになるため、罰則が定められています。

本店所在地の法務局では2週間以内、支店所在地の法務局では3週間以内に行います。

もし期限内に登記ができなかった場合は、代表者に過料が科されます。

過(あやまち)料は科(とが)料とは違って前科がつくのとは違います。自動車の駐車違反などのような秩序罰ですからお金を払えば済みます。

なお、こういった罰金等は代表者個人の責任で支払わなければならず、会社の経費(損金)にはなりません。

そして、普通の中小企業の場合にはそれほど厳しい運用がなされておらず、現状では多少の遅れでは過料が科されることはありません(上場企業などで例外はあるようですが)。法務局毎に、ある程度基準を決めて、特に遅れているものだけ過料を科すということになっているようです。

早ければ2ヶ月遅れで過料がくることもありますし、大体1年遅れると確実に過料になると思われます。

過料の額についてはっきりした基準はないようですが、数万円のこともあれば、10万円を超えることもあります。遅れれば遅れるほど高額になります。


蛇足ながら、不動産の権利の登記には期限はありません(表題部の登記は1ヶ月以内に行う必要があります)ので、遅れても過料はありません。その代わりに対抗力を備えることができないので、取引上不利になることがあります。